令和5年 元旦 会長挨拶

 新年明けましておめでとうございます。
 未だ終息の見えないコロナ禍の中、旧年中会員の皆様が、希心の法華経の行に一生懸命励んで頂いたことに感謝申し上げます。昨年は希心會の開教七十周年という記念の年でありましたが、感染症の蔓延や社会情勢の激変の中、耐え忍ぶ年ではなかったかと思います。そのような私たちを取り巻く社会の変化と共に、会員の皆様の状況も日々刻々と変化をし、行のやり方をも変えて行かねばならない時期となっています。
 
 私が会長に就任して以来、常に導師には「停滞(現状維持)は衰退ですよ」と言い続けています。「いつも通り」の行をしていたら、支部だって、会だって無くなりますよと言っています。日々激しく変化するこの時代に私たちは生きています。守り、継続すべきことはしっかりと続け、変えた方が良いことは勇気をもって変えて行く、その判断の叡智があるかどうかが私たち会員一人ひとりに問われているのです。令和五年も希心會の導師、信者がそれぞれの役を果たし、起こる変化を受け入れつつも、ご先祖の供養を行い、多くの人々を救ってゆくという変わらぬ行をすることが求められているのです。

 さて、開教七十周年を経て次の時代に入ってゆく私たちは、「初心に帰る」ということを再確認したいと思います。私たちの「初心」とは、常に希心會の「立教の大綱」の精神に立ち返り、導引き我が子一人ひとりに目を向けること、つまり「慈悲をかける」こと。そして、それら一人ひとりの悪因縁を一つひとつ取ってゆくことで皆を幸せにし、それが会員の皆さんそれぞれの幸福となり、ひいては希心會としての大願成就につながって行くという思いです。

 「導引き我が子に慈悲をかける」とは、相手にどれだけ目を向けられるかであり、自分が話すのではなく、どれだけ相手の話を聞いてあげられるかということです。ぜひ今年は皆さんの周りの人々に「声をかける、慈悲をかける」ということを日々の行の中で実践し、御山修行へとつなげていって頂きたいと思います。本年は、できうる限り従来の御山修行のやり方に近づけ、各支部とも導師、信者と共に一つになって修行ができるようにして行きたいと思います。

 令和五年の干支は「癸卯(みずのと・う)」です。うさぎは跳びはねることから、元気よく飛躍する象徴と言われます。そして「卯」の方位は東であり、卯の刻は、午前6時を中心とする約2時間(午前5時~7時頃)とされます。何か御山修行の朝の祈願を思い出させますが、このように良い意味の年に、以前のような御山修行が再開できるように、皆さんと一丸となって行をしてゆきたいと思います。皆が一丸となれば、難行苦行も乗り越えて行くことができます。
 
 日蓮上人の言葉に「百人千人なれども、一つ心なれば必ず事を成(じょう)ず」というものがあります。御題目一つにしても、皆でお経を読むときも、自分だけでなく、周りと呼吸を合わせるように意識すれば、本当に一つになります。心を合せて行けば、私たちのこの大変な行も成し遂げて行けるのです。

 そして、この「希なる心の会」の行に出会った皆さんは、それを決して離してはなりません。会員である限り、皆さん一人ひとりはそれぞれの法座、それぞれの支部の大神様を通じて、希心會本部の道場に掲げられた大曼荼羅につながっており、いつも普賢菩薩様に御守り頂いているのです。

 法華経の中で普賢菩薩が象徴しているのは「行」です。お経に説かれた「妙法」を、世の中に弘めていくのは「行」であり、他土に浄土を求めるのではなく、今生きている現世(今生)こそ浄土であり、その現世に浄土を顕現させることこそ「娑婆即寂光土」です。それが法華経の心であり、法華経を締めくくる普賢様のお経である「普賢菩薩勧発品」の真意であると思います。この世界を良くし、人々を幸せにするのは、皆さん一人ひとりの行にかかっているのです。今年も会員の皆様の精進を期待申し上げます。 合掌


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