令和5年 第71回 開教記念日会長挨拶

 希心會は昭和28年2月11日に、初代会長である飯島将吉によって始められました。その前の年に、希心會の発足に賛同した79名の導師が連判状を書して、希心會の発足を決めています。この希心會発足時の導師の気持ちに思いをはせながら、本年の元旦の普賢大菩薩様の御詞を読み返したいと思います。
 「天変地変多発なし、天候不順、悪疫の蔓延と、大悪魔、大悪鬼、死魔、龍の働き強きなれば、心引き締め初心に帰りて行に進み申せ」とあります。

 現在は地殻変動や地球温暖化などにより、71年前よりはるかに天変地変の脅威は増しています。国内では、誰もが被害者になるような無差別的な犯罪が横行し、対外的にも新たな脅威が増しています。これこそ御詞にある通りの現在の状況と言えるでしょう。

 大神様からは「初心に帰る」ことが大事であると言われておりますが、本日希心會の開教記念日にあたり、改めて今の私たちは開教当時の導師の気概を受け継いでいるだろうか?自分の都合、自分の利益ばかり追い求めていなだろうか?正しい希心の法華経と言いながら増上慢なっていないだろうか?と希心會発足時の、また皆さんが希心の法華経に出会った時のことを思い起し、考える必要があるのではないでしょうか?

 「正しい希心の法華経」とは何でしょう?お釈迦様は、悟りを得た後の最初の説法と言われている「初転法輪」で「人生は苦である」とされ、四苦八苦から逃れ悟りを得るには「八正道」の行いをすることだと説かれました。私たちは、このお釈迦様の教えに従って正しく日々の生活をし、正しく行をすることが必要です。そして希心會の「立教の大綱」の使命を見失わないこと、これこそが「正しい希心の法華経」です。そしてその行は皆さん会員一人ひとり、それぞれのものなのです。

 私たち希心會の会員は、希心會の教え、やり方で行じなければなりません。私たちの行は、希心會の大神様、そして各支部の大神様といった諸佛諸天善神の御慈悲があってできるのだということを忘れてはなりません。感謝する心、礼を尽くすこと、これは希心會では特に重要としている行です。私たちは日々目まぐるしい娑婆の生活の中で、ともすれば感謝の心を忘れがちです。しかし、この娑婆世界で幸運にも希心の法華経に巡り会った、巡り会わせて頂いた恩を、そして日々大神様に守られて、先輩や仲間に支えられて行ができている、生活ができているという感謝の心を、常に謙虚に持って行をしなければならないと思います。

 本日皆であげた『見寶塔品』には、法華経に出逢うことの大事さを「處處に法を聴きたもうことは 遭い難きを以ての故なり」と示されています。日蓮上人は「末法の世に入って、法華経をたもつ男女の姿よりほかに宝塔はない。貴賤上下なくただ南無妙法蓮華経と唱える者は、わが身が宝塔であって、多宝如来である」と言われています。身分や地位や老若男女を問わず御題目を唱える姿こそ尊いと言われています。本日開教記念日にあたり、会長以下すべての導師・信者が「初心に帰り、感謝の心をもって」この困難な道を、皆で乗り越えて行をすることを誓いたいと思います。

 さて、「色読」という言葉がありますが、これは「お経を正しく読み取って実践する」という意味です。日々心をこめ、気持ちを入れてお経を読み、細やかに相手の話を聞き、他の人々に希心の法華経を説き、日々導引きを行い、それによって皆さんの周りの人々を救い、この世の中を少しでもきれいにしてゆくこと。これが法華経を色読するということであり、希心會の正しい行なのです。

 残念ながら本年も、会員一同が集まっての開教記念日のお祝いではありませんが、本部・道場に来ることができなくても、日本各地で多くの会員が共に誓いの経文供養をして、希心會の開教記念の日を祝っています。お経巻にあるように「仏道ははるか」です。私たちが歩む道はもともと困難な道です。一人きりでは行ずることはできません。これからも希心會の仲間と共に、「希心會の法華経行者として、感謝の心を持って行をしてゆく」という考えを持ち、日々新たな行に進み、共に前進をして行きましょう。 合掌


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