平成29年身延七面山祈願参拝下山祝賀説法会 会長説法



 平成29年度の身延七面山祈願参拝、そして本日の下山祝賀説法会とも大勢の導師、信者の方が参集して頂いたことに感謝申し上げます。

 今回山上に登った方のみならず、麓にて修行された方は、登山修行とはまた違った大変な行であったと思います。地球温暖化が叫ばれて久しいですが、我が国だけでなく世界的にも毎年天変地変がおこっており、特に最近では大雨による人的被害をふくめた災害の増加が顕著です。一方でホームページに紹介した様に、9月の修行では、希心會会章のデザインの元になった富士山頂からの御来光を拝しています。希心會の修行は御来光を拝することが目的でありませんが、あのような素晴らしい御来光ならば一度は拝してみたいと思います。身延七面山頂では、春分・秋分の日に富士山頂からのご来光が拝せます。これは富士山~身延七面山~出雲大社を結ぶ線です。山上に行ったことがある方はおわかりと思いますが、私も御来光が、あの急坂の下にある七面大明神が祀られる敬慎院本殿にしっかりと当るとは初めて知りました。七面山信仰は古くからあり、敬慎院は720年前からありますので、大変不思議なことといえますし、だから多くの人々の信仰を集めているのだと思います。

 七面山の伝承を見てゆくと、七という数字と竜、女神、池、水に深く関係していることがわかります。七面大明神は七面天女ともされ、日蓮宗では法華経を守護する女神、本地は七面山頂敬慎院に祀られるとなっています。七面天女の本地は、吉祥天とも弁才天とも言われてきました。これは、提婆達多品の竜女が吉祥天であるともいわれていることにつながります。吉祥天の父は八大竜王の一柱徳叉迦竜王、実母は鬼子母神とされ、やはり竜にまつわります。

 七面山はこういった古来人々の信仰を集めている霊山であり、法華経の守り神でもある七面大明神を本地としている尊い場所で、私たちは修行をさせて頂きました。そして、秋の修行中は「末法総鎮守七面大明神」と特別に祈願している様に、この神様は末法の世を治める使命を持っておられ、法華経を信じて行をする私達を守って頂いております。現別当の報恩事業の一つは「提婆達多品の写経」ですが、写経を提婆達多品から取られたことはそういった意味があると思います。

 人には元々善悪は無く、善悪は縁によって起こります。修行も良い心持ちで修行をすれば良い縁ができ、心も結果も良くなる。反対に教えを信じなければ悪い縁に出会い、心も結果も悪くなるのです。『譬喩品』で釈尊は、弟子の中で智慧第一と言われた舎利弗に対し「汝舎利弗、なお此の経においては信を以て入ることを得たり―己が智分にあらず」と言っておられます。信じて行うことが大事であり、良い結果を頂く根本なのだと思います。

 今年も皆さんが希心の法華経を信じ、大変な思いをして山上や麓で修行して頂いたおかげで多くの先祖供養ができました。それが天変地変や凶悪犯罪などを治めることにつながり、巡りめぐって私たち自身の因縁洗浄成仏ができ、皆さん一人ひとりの色々な功徳、順序につながって行くのです。皆さんが今回御山修行でなさった様に、誰でも希心の法華経を信じ、一生懸命お題目を唱えることで多くの先祖成仏ができ、良い功徳を頂くことができるのですから、今後も許されれば一人でも多くの方に御山の修行に行って頂きたいと切に思います。

 私たちの周りには、過去に人生を全うできず成仏していない先祖が無数にいます。過去から現在までを考えると、本当に数え切れない先祖が成仏できるのを待っています。私たち希心會会の究極の願いは衆生の救済です。その目的を達成するためにも、日々一心にお経をあげ、導引きをしてできるだけ多くのご先祖を成仏させ、皆さん一人ひとりの願いを、またこの国の、この世界の人々が幸せになるように祈願して頂き、皆さんの周りの人々に声をかけ、希心の法華経を説き、広めて頂き、これからも一緒に前進の行をして頂けます様お願い申し上げます。


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