平成30年3月号 開教記念日会長挨拶

本日希心會は、第66回開教記念日を迎えました。一口に66年と申しますが、その間希心の行を信じ、真摯に取り組んだ先達たち、また現在行をしている皆さんが救った先祖はどのくらいになるでしょうか。それは途方もない数になるはずです。一方でそれだけの行をしていながら、相変わらずこの世界は極楽浄土はおろか、天変地変が続き、人心は荒れ、人々の悩みは増すばかりです。このような世界を少しでも良くするためには、初代会長が79名の導師と共にこの世を救わんと荒海に乗り出したこの記念日に、改めて「どんな苦労があっても、尊い法華経に帰依し、希心會の行を、この国を守り、衆生を救い、この世を救う」という開教の主旨を思い出し、かみしめることが必要だと思います。

 さて、お釈迦様はご自分の悟りのことを「古の人々があゆんだ古道を発見した」、つまり太古からある正しい道を再発見したとおっしゃっています。そして、それを自分だけのものにせず、約2500年前に私たちに教えて頂いたのです。法華経にはその正しい道に至る方法が説かれていますが、お釈迦様が悟りを開いてから現在まで、何人がその道を発見し、歩めたでしょうか?私たちにそれができないのは「三毒」(むさぼり、いかり、おろかさ)があるからだとされています。それを取り除くことができればよいのですが、私たちは無限の過去生からの因縁を背負っているため、簡単にはゆかないのです。この世に生まれてきたもので先祖の無いもの、因縁の無いものはありません。クローンとか最新技術と言われるものでも「無」から作り出すことはできません。必ずそこには原因となる物質や周囲との関係が介在しています。その原因によって結果があるとお釈迦様は説かれました。これが因縁因果と呼ばれるものです。
 
 私たちが今あるのは先祖があるからであり、その原因による結果が今の私たちならば、過去の先祖の業を背負っていることになります。つまり、先祖の不幸は私の不幸になり、先祖の成仏は私の成仏にもつながってきます。こう考えると、私たちが日々の暮らしの中で三毒から抜け出れない事もうなずけます。一方法華経には、すべてのものが仏になることができると説かれています。先祖の霊を呼び起こし、成仏していない先祖を供養して成仏させることが自分自身の悪因縁洗浄につながり、皆さんの周りの人々の幸せにつながってくるのです。ですから、先祖の供養をお葬式や法要といった、自分が知っている祖父母や父母といった方だけに限定してお寺に任せるのではなく、自分の無数の先祖は、自分で供養することが必要なのです。

 希心會には、今では何万という導師信者がいます。その中で末端まで希心の行を浸透させ、曲らずに行をして頂くことは大変難しいことです。いつも「なぜそうなってしまうのか」と思うことが多々あります。しかし、私たちはこの場に留まっていることはできません。よく御指導では「前進の行」という事を言われますが、私たちは前に進むしかありません。お経巻の中には「前進」という言葉が一カ所だけ化城喩品に出てきます。虚構に惑わされず、導引き我が子を前進させ、真の正しい境地に導くのが我々の使命です。私たちの人生にも後退はありません。前に進むのみです。やってみて間違ったら修整して、また前に進むことができる。しかし、その場にいて動かなければ「停滞は衰退」であり、そのまま消滅してしまいます。今生という世界に生まれ、その中で「良く生きる」ということを目指して前進するしかありません。希心會の行もまた同じです。本日の「見寶塔品」にも「此れはこれ難事なり、宜しく大願をおこすべし」とありましたが、難行苦行はもとより覚悟の上であり、それを使命と認識し、自らの人生の意義と位置づけられるかが私たち個々の修行なのです。会員一人ひとりがこの「希なる心の会」に巡り合ったことを、諸佛諸天善神に、そしてご先祖に感謝し、日本中の「善き同志」と共に、今後も行をしてゆきましょう。合掌

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